先週の日経平均は860円(6.6%)下げ、週間としては下落幅・率とも今年最大だった。欧州の景気悪化懸念からユーロが売られ円相場が急伸。国内でも4―6月期の法人企業統計で設備投資鈍化が確認され、多くの企業が想定する年度後半からの業績回復に懐疑的な見方が広がった。
5日発表された8月の米雇用統計は事前の予想以上に悪化。実体経済の弱さを印象付けたものの、金融株に買いが入り米国株の大幅安は避けられた。週明けの東京市場でも急落の反動で買い戻しが先行する可能性はあるが、「国内外の景気悪化基調に変化はなく上値の余地は限られる」と慎重な受け止め方が多い。
12日には4―6月期の国内総生産(GDP)改定値が公表される。市場予想の中心は前期比年率で実質3.8%減と、設備投資や外需の鈍化を受け速報値(2.4%減)から大幅に下方修正される見通しだ。
8日に発表される8月の景気ウオッチャー調査や、11日の7月の機械受注統計も注目材料。いずれも弱含みが見込まれているが、仮に堅調でも好反応は限定的との指摘が出ている。
12日には株価指数先物・オプション9月物の特別清算指数(SQ)算出を控える。SQ前には持ち高調整や思惑的な売買が先物に膨らみやすく、振れの激しい地合いが続くだろう。
東京証券取引所第一部の予想配当利回り(加重平均)は2%に乗せた。先週は下落過程で売買代金が漸増しており、「下値では実需の買いも入ってきている」。短期的な自律反発期待は高まっているが、当面は不安定な展開が続く可能性が高い。
[9月7日/日本経済新聞 朝刊]